没落ちゃん

全部全部ごめんね

右隣

 キミと初めてのデートの時、深夜徘徊をしてキミの地元を2人で歩いていた時

 

深夜2時をまわっていた。車はそんなに走る気配も無いのに道路側を紳士みたいにずっと歩いてくれたり、一々左に誘導したり、右側に誘導したりするのが何故だか不思議だった。私が恋愛経験がほぼ無いから紳士的な行動は私をぎゅっと苦しめ虜にするだけで、キミの事を今すぐ抱きしめてそして私のことを息が出来なくなるくらいに抱きしめ返して欲しかった。そのまま殺してくれたらとか思っていた。

 

 危ないからこっち歩くよ(笑) って笑っていた君の長い前髪から透けて見える黒い目がまん丸で街灯に煌めいていたキミがね、本当に可愛くてたまらなかった。右隣に歩いて居た時何故かキレて右側歩くなって言ってごめんなさい。笑いながらなんでよって返してくれた時に私も笑いながらやだぁ(⊃>~<⊂)ってやれば良かったのにな。 

なのにマジになって右目だけ目付きが気持ち悪いから歩かないでよ右に来んなって返してしまった私を今すぐ平手打ちしてくれて構わないよ。

気持ち悪いなんて思ったことないよって手を握りながら歩いてくれたキミはもう居ないけど。

 

お互い汗ばんでいた握ってた2人の手、寒くて仕方ないから宿で暖まりながら暗い部屋で怖い話をして怪奇現象が起きたこと、抱き締めながらめちゃくちゃ怖いって甘えてきたあんたがどうしようもないくらい好きで可愛くてなのに男前な所があって君のこと素敵な人で思い出す事しか出来ないのがさ、もう二度と右も左にも歩いてくれないのがさ、会えないのがさ君を思い出して泣くことしか出来ないのよ。そんな私を

 

私の事忘れないでよ、何かの拍子で私の事を思い出してキミの頬を濡らしてよ、何が原因で泣くか分からんけどさ

でも

キミは素敵な人だから隣に居るのはきっと私じゃないんだよ。そうなの、素敵とは程遠い私じゃ駄目だったんだよね。